コンビニ人間 村田沙耶香
社会は多様性に向かっていると表面的にはいわれているが、決してそうではない。「普通圧力」が非常に強い。
ほんとにいつも「普通圧力」に押し潰されそう。
コンビニ人間。
すごくおもしろかった。
普通でないと病気と断罪され、治すべきものとなる。主人公の古倉さんは、「治すべき」人である。そんな古倉さんには、マニュアルのあるコンビニの仕事が合っている。
わかる!わたしも何時にあれやって、何曜日にあれやってって決まっている仕事好きだわ。
古倉さんは、いわば普通でない人として描かれているが、そこに生きづらさみたいなものはない。そもそも何をどうすれば「治る」のかわからないからだ。でも「結婚しないの?」「なんでアルバイトなの?就職しないの?ていうか結婚もしないなら就職すれば?それが普通でしょ」という言葉が際限なくつきつけられる。
「普通の人」は、理解できない変なものには、理由を探し、納得できる理由が見つかると安心する。逆に見つからないと不安になり攻撃する。異物のままそこにあることを許せず、目につかないところに「排除」する。
古倉さんは、自分の「変」と思われているところを消去して「治」ろうとする
古倉さんが、自分を歯車の1つと感じられて、完全な世界であったコンビニの完全さが失われていく様は非常に切なかった。
古倉さんが最後、たどり着いた答えはわたしは良かったと思う。バッドエンドだと言う風に思う人もいるみたい。中村文則さんの解説によると。
わたしも「普通圧力」を感じることが多い。表面的でなく、多様な考え、多様な生き方を選べるようになればいいなと願っている。遠いみちのりだなー。