足さん、腕さん
次男の足さん、腕さん、口さん、おなかさんたちは、おのおのが自分の意思を持っている。
実際にはそうではないけど、そうみたいだ、という話だ。
きっかけは、ほんの些細なことだ。
「コラ!」と次男の足を軽く叩いた。
たぶん、忘れちゃったけど、行儀が悪かったのだろう。
すると、
「痛い!」
と次男が言った。
そして、わたしが何気なく、
「足さん、ごめんねー」
と言った。
次男が、
「なんで足にあやまるんよー」
と言った。
わたしは、軽い冗談だったけど、ふと発達凸凹さんの体はそういう風にとらえるとおもしろいんじゃないかと思った。
次男の核となる部分は、ちゃんと脳にあるんだけど、足さんにも腕さんにもちょっと人格のようなものがあって、自分のうごきたいときにうごいちゃう。
だから、パーーーっと走ってっちゃうし、授業中もうろうろしちゃう。
運動するときも、本体である脳が思うようなイメージで体をうごかせない。
脳が考えるよりも先に口が動いてしゃべっちゃう。
そんなふうに思うとおもしろいかも。
その言うことを聞かない足さん、腕さん、口さんを本体である次男が制御できずにいる。
そのてんでバラバラにうごきたがる、足さん、腕さん、口さんたちの部分さんたちを統制して、まさに手足のように動かすようにできること、それが発達凸凹さんのトレーニングなんだろうな。
なんてそんなふうに思うと言うことの聞かない足さんや腕さん口さん目さんがみんな愛おしく見えてきちゃう。