もう普通を目指さない!発達凸凹母が見た発達障害兄弟の生態

ADHD+ASDの息子2人との普通じゃない日常

カラマーゾフの兄弟

ドストエフスキーといえば、文学少女きどりの中学生?高校生?のころ、「罪と罰」を読もうとして挫折して以来だ。

わたしもずいぶん大人になったしそろそろいけるかと思い、挑戦してみた。
翻訳ものはなんだかんだで、訳者が大事。訳者の言葉遣いで読みやすさに雲泥の差がうまれると思っている。相性というか。
そこで、100分で名著でも解説をされていた亀山郁夫先生の訳で光文社から出版されているもので読んでみた。

キリスト教の歴史や宗旨、当時のロシアについて教養がなければ、物語全体を理解するのはおぼつかないだろう。
神様はいるのかいないのか。本当の救いとは何か。などなど、深淵なテーマが通底している。

ただ、そういう部分(とにかく次男イワンとゾシマ長老の語りの部分が壮大)をすっとばしてしまってもミステリーとして成立しており、かなりおもしろく読める。父親殺しの犯人は誰か?
あと恋愛小説としても。長男ドミトリーとグルーシェニカ、カテリーナとの三角関係、父親フョードルを含めた四角関係?
もちろんそれだけ楽しむのは、著者の本意ではないだろうけど。

長男ミーチャは、直情径行、暴れん坊で、よくいえば純粋、悪くいえばバカ。犯人として直ちに逮捕されるのも理解できる。
次男イワンは、インテリで冷静で不気味な存在。無神論者。
三男アリョーシャは、信仰深く、まっすぐで、汚れない存在。

長男、三男のみ愛称でかかれているのも著者の親しみが隠されているらしい。本名は、ドミートリーとアレクセイ。

さて、アリバイ的に殺害が可能なのは、3人の中ではミーチャだけ。でも4人目の男フョードルの私生児?スメルジャコフという伏兵も存在する。

ミーチャは、大好きなグルーシェニカとちがう土地に逃げたいが、カテリーナから奪い取ったお金を使いたくない。カテリーナから奪い取ったお金も少しでも返すなら泥棒ではない。卑怯ものではあるが泥棒にはなりたくないという謎の価値観をもっていたり、グルーシェニカは、ずっとフョードルもミーチャも嫌っている風だったのに、突如としてミーチャを愛するようになるなど、え?そうなの?というところもあるが、全体としてミステリー要素は違和感なく読めた。裁判で、検事と弁護士が戦う場面も非常に面白い。
結局、ミーチャが犯人として裁かれ、有罪になるが、その後脱走計画などもたてられるが、どうなるのか記述はない。

続編が書かれる予定だったのが、著者の死亡で書かれずに終わっている。続編ありきのカラマーゾフの兄弟だったそう。13年後アリョーシャは革命家になったそうな。読みたかったなぁ。